こんにちは、猫丸庵の女将です。
私、むかーし昔、沖縄情報を取り扱うweb上の沖縄情報サイトのスタッフをしていました。
その頃、私がインタビューした記事なのですが、今はその情報サイトは閉鎖していてアーカイブが見られないのですが、web魚拓サイトで一部を掘り出すことが出来たので、こちらに転載します。
題して「ヤンバルクイナたちはいま」
2004年8月17日に掲載された記事です。
に…20年前かぁ…しみじみ
なぜ転載するのかと申しますと、私が取材した長嶺 隆先生が、誹謗中傷されているのをsnsで見かけたからです。
まだTNRも一般的ではなく、保護猫カフェの数も1、2件位だった20年前
この方はこうおっしゃいました。
「猫の捕獲が始まろうとした時に、多くの人や動物愛護団体から「殺さないで欲しい」という意見が出たんですね、それは当然なんです。もちろん、捕獲した人たちも殺そうとは思っていなかったんです。できる限り譲渡先を探そうと思っていたのですけど、この事を子供たちに説明できるか? という1つの基準があって、“果たして猫を捕まえて殺す事が本当にいい事なのか?”と考えた時に、そうではないだろう、僕らの仕事はそういった事を未然に防ぐ事だろう、“ヤンバルクイナも猫も守ろう”というスタンスになったんです。」
そして、それを実行し、シェルターを作り、やんばるで捕獲された沢山の猫たちを保護・譲渡と繋げてくれた姿を私はこの目で見ています。
寄付も協力者がほんのわずかだった20年前から諦めず続け頑張ってきた方なんです。
活動を世間に認められたりしてきたのは、私から見たらようやくの最近の話です。
その事実を少しでも知ってもらいたいと思い、転載する事にしました。
以下より引用転載となります
続きを読むからご覧ください
沖縄の鳥と聞かれて真っ先に浮かぶのは「ヤンバルクイナ」。
1981年に発見され、翌年に天然記念物に指定されました。ここ最近ニュースなどで頻繁に交通事故の報道がされるようになり、県民のあいだにもヤンバルクイナの危機が知れ渡るようになりました。発見されてわずか23年の間になにがあったのか、現在どういう状況なのか、ヤンバルクイナの保護活動に取り組む獣医師 長嶺 隆 氏(ヤンバルクイナたちを守る獣医師の会 代表)にお話を伺いました。
――ヤンバルクイナの保護活動は、いつ頃から始められたのですか?
長嶺:2002年1月ですね。
――なぜ保護活動をはじめようと思われたのでしょうか?
長嶺:2001年の12月に、ヤンバルの森の中で見つかった猫の糞の中にヤンバルクイナの羽が見つかったんですよ。これが12月19日に新聞に出たのですが、その時すごいショックを受けたのです。
マングースや猫が原因で、ものすごい勢いで生息域が減少して段々北に上がってきているというのがわかっていて、鳥好きであったり沖縄が好きですから、単純に“いなくなってしまう”という不安があったわけです。
動物と暮らす事が、すごい豊かな暮らしというの事は一番よく知っているつもりで、自信があるのです。ところが森の中に動物が捨てられるという事というのは全く相反する事じゃないですか、捨てられるわけですからね。それがすごいショックでしたし、責任を感じたのです。獣医師としてきちっと皆に伝えておけばこんな事にはならなかったんだという反省があったんです。
かと言って、野生動物の保護の専門家ではないのでわからない部分もあって、それを仲間に伝えたら皆もすごく苦労をしていて、いまの勢いでいくと当時10年はもたないだろうと言われていて、「じゃあどうしようか?」という時に、「とりあえず獣医だよね」という事で、ヤンバルクイナを守るために猫を捕獲するという話が出ていたんですよ。ヤンバルクイナと猫は同じところでは住めないのです。猫の捕獲が始まろうとした時に、多くの人や動物愛護団体から「殺さないで欲しい」という意見が出たんですね、それは当然なんです。もちろん、捕獲した人たちも殺そうとは思っていなかったんです。できる限り譲渡先を探そうと思っていたのですけど、この事を子供たちに説明できるか? という1つの基準があって、“果たして猫を捕まえて殺す事が本当にいい事なのか?”と考えた時に、そうではないだろう、僕らの仕事はそういった事を未然に防ぐ事だろう、“ヤンバルクイナも猫も守ろう”というスタンスになったんです。
会の名前が「ヤンバルクイナたちを守る獣医師の会」というのですが、この“たち”というのはノグチゲラ・ケナガネズミそれから…蛙もそうですね、それから猫も加えた“ヤンバルの生き物たちも含めて”という意味でこの名前がついたわけです。――マングースも北上してヤンバルクイナを食べてしまっているのですか?
長嶺:まだ、マングースは今のところヤンバルクイナを食べているという証拠はないのですが、おそらく食べていると思います。猫よりもすごくて、それはなぜかというと状況証拠として、マングースが見つかった場所というのは即座にヤンバルクイナが消えてしまうのです。ただマングースは、600~700グラムと小さいのでヤンバルクイナを襲うには必ずしもうまくいかない動物で、しかしヤンバルクイナの卵や雛が好物でそれを食べているだろうと思われます。これらは胃の中で溶けてしまうので証拠として残らないわけです。
――ヤンバルクイナの現状は?
長嶺:非常に簡単に表現すると、“海でおぼれかけている人”です。
とにかく色々考えている暇はない!すぐにでも救い出さないといけない状況なんです。その救い出す手法はなにか?という時に保護増殖センターであったり、フェンスであったりという事なんです。――ヤンバルクイナが交通事故に遭っていますが、毎年、どのくらいの事故があるのでしょうか?
長嶺:過去5年間で、5月に死んだというのは5件しかないんです、トータルでここ6年間で22件の交通事故がありました。ただ、交通事故というのは見つかっているのは氷山の一角なんです、跳ね飛ばされたらそのままですから。
そういう状況で今年は5月の上旬から6月の上旬の約1ヶ月間で6羽見つかっています。これから続くかもしれない、しかし今年は手を打ってますのでこれ以上増えないと思いますが、他にも雛が側溝に落ちたりする事もあります。
重要なのは、あのヤンバルの森の中に1000羽以下の、ほとんど遭遇する機会の少ないヤンバルクイナが交通事故でこれだけ検出されてしまう、雛が14羽も遭遇してしまう、これは絶対異常なのです。
確たる証拠はおそらく誰も知らないと思いますが、原因はあるのです。その原因は何かと考えていくと、森の中でなにかが起こってきている、それぐらい大きく変わってきた事ってなんだろう?と考えた時に、やはりマングースがどんどん北に入ってきて、猫も依然としてまだいる、この二つが大きな変化ではないだろうか?となるのです。ここ最近急に車が多くなったわけではないのです。
――林道の近くにヤンバルクイナが追い込まれているのでしょうか?
長嶺:そうです、林道の縁の側溝に溜まった枯れ枝の中に餌(ミミズなど)を取りにくるのです。ここら辺りを餌場にしていかざるを得ない原因があるのかな…と。それと繁殖期(3~8月)が重なると親鳥は一生懸命ですから、道路に餌を求めている事は確かですね。
――今、県民にやってほしい事は?
長嶺:例えば猫の問題ですが、県外の人が猫を捨てには来ません。これはすべて沖縄の人がやった事で、言い訳ができないのです。自らがヤンバルクイナを猫という動物を使って崖っぷちに追い込んでいったのです。
マングースも毎年数百名の人がハブに噛まれていて、死ぬ人もいるし10%以上の人は後遺症に悩まれていて、1910年にハブ退治・ねずみ駆除の為、良かれと思ってたった17頭を放したわけですが、それが今では3万頭以上に増えているわけです。
最初は学者の人がやったかもしれませんが、この問題は当時の人たちがやった事を尻拭いしているという言い訳では解決しないのです。100年間近く考える時間があったわけです。
一番最初の1910年に放した人は世代の責任を果たそうとしてハブ退治の為にマングースを放したわけですよ。当時真剣だったのです。だけどその間放置し続けてきた、悩み続けてこなかったその時その時の世代の責任なんです。
ヤンバルクイナの現在おかれている状況というのは、言い訳ができないんです、僕たち沖縄の人は。
そこをまず知ってほしい。そして他の事とこの問題は違っていて、自ら解決する意思を持つ事が必要だと思うのです。============================================
“言い訳のできない現状”、その事を受け止めて一人でも多くの人が問題視して協力し合いたいと思いました。
「私が猫をすてたんじゃない」、
「私がマングースを放したのではない」、
この問題は、そんな次元の話ではない、逃げてはいけない。
ヤンバルクイナを知っていますか? ヤンバルクイナは沖縄に貢献してくれていませんか?
利用するだけ利用して、絶滅しても平気?
今、県内のスーパーやイベント会場でヤンバルクイナの募金活動が広がっています。どうか、皆様ご協力をお願いします。
そして、沖縄を愛する県外の人も、ご協力をお願いします。
今、沖縄で絶滅に瀕している野生動物はヤンバルクイナだけではありません。りっくでは、長嶺先生にご協力いただき、沖縄の野生動物についてこれからも考えていきます。
取材協力:ヤンバルクイナたちを守る獣医師の会
(企画+取材: あひる@RIK編集部、制作: KUWA)
2004.8.17掲載